29日、「リポビタンDチャレンジカップ2024」マオリ・オールブラックスと対戦するJAPAN XVのFL下川甲嗣とディビッド・キッドウェルディフェンスコーチが前日会見に応じた。ジェイミー前HCとの違いについて下川は「一番大きな違いは朝が早いことだと思います」。勝負のポイントについては「1回のしごとではなくセカンドエフォート」と話した。
ディフェンスコーチを務めるディビッド・キッドウェル氏は、日本代表でディフェンスコーチを受けた背景として「ワールドカップが終わった後、オーストラリアリーグのチームからもオファーがあったが、ユニオンのコーチを続けたかったので」とその時の経緯を話した。「日本代表はトップ4になれると思うし、その強化をする一員になりたい」(キッドウェル氏)
FL下川甲嗣
![](/img/2024/0629/eb2e4c69b962207e5f24c69f3b67e4d6_original.jpg)
――下川選手が感じる超速ラグビーとは
判断のスピードがこれまで自分が意識してきたスピードより速さが求められている。これまで以上に状況判断だったり、正しいプレーを選択をするにあたっては、まだまだ自分も課題だと感じている。ここから向上させていかないといけない。
――JAPAN XVとして明日のマオリ戦の位置づけは
当然 日本代表としての試合でもないですし、テストマッチでもないまったく違う試合ですが、イングランド戦に出ていないメンバーはハングリーな気持ちを持って臨みたい。
――このあたりが自分の強み、そして課題は
まだフィジカリティーは同じポジションの選手の中では劣る部分もあるが、プレーの反復性、連続性、しつこさの部分で勝負していかないといけない。エディーさんからも1つの仕事で終わるのではなく、起き上がって次の仕事を見つけて動き出すことを言われている。自分の強みのワークレートで勝負していかないといけない。
![](/img/2024/0629/e2e0e87fe93f49c6152032405c8ad094_original.jpg)
――キッドウェルDFコーチからどんな指導を?
システムのところは試合を通して向上していく部分はあるが、デイヴはリーグラグビーの経験があるので、タックルのところで「フィニッシュオントップ」、相手の上に乗って終わって、相手のテンポを自分たちがコントロールすることを指導で大事にしている。2人にしっかりタックル入るスピード、激しさ、最後、仕留めきるところをやっている。
――今週の練習の意識付け
基本的に、自分たちのベースとなるところは、先週も今週も変わらない。明日の試合、セットピース起点にゲームを勢いづけるところを1週間やってきた。FWとしてはセットピースのところに時間割いて、ウォークスルーだったり、グラウンド外でもやってきた。明日の試合で結果を残したい。
――先週はセットプレーが安定していた。今週の両LOは、九州の先輩です
身長の部分は、先週のメンバーと多少違うが、その分、はやくセットして取れるところで取る。そういうところで、体格関係なしにできるところ、早くセットする、その後のリフト、ジャンプ、ムーブという細かいところを100%でやっていこうというところを意識してやっていきたい
――先週、のセットの安定はチームとして自信になった?
イングランド戦でプレーした選手は、本当に質の高いセットプレーだと思いますし、コーラー以外の選手も冷静に判断してできていたし、スピード感も良かったと思います。1週間の限られた時間ですが、しっかり確認しあってできた。(両LOの)小瀧さんも桑野さんも、国内でも経験値の高い選手ですし、日本人同士なので コミュニケーションもたくさん取れているので、準備できたかなと思います。
――イングランド戦で学んだことは
最終的な差は大きくついてしまったが、自分たちが目指すラグビー、速いテンポのラグビーは得点につながらなかったがいい形でできていた部分もあった。同じポジションの選手もいい形でボールもらってゲインする場面もあった。1回の仕事ではなく、セカンドエフォートで良い働きもあった。そこの部分が勝負のポイントになると思うので、僕も質の高いプレーをしたいと思っています。
――ジェイミー時代の違いは
一番大きな違いは朝が早いことだと思います。それ以外はやっぱりミーティング一つするにしても、結構小さなグループを作ってディスカッションする。常に自分の意見や考えを共有する機会がある。フィールドの練習でも練習の最後で良かったところ、改善しないといけないところというパートが細かくあるのが違いだと思います。共通点はどこよりもハードな練習をするというところは、ジェイミーのときも、今もエディーさんもそう。世界で一番ハードな練習をするところは共通していると思います。
ディビッド・キッドウェルコーチ
![](/img/2024/0629/5148d4897471ac58ffc9b600163c6f9e_original.jpg)
菅平の山の中で始まって、今日まで7週間、選手たちと合宿していて、毎日、選手の成長を見ています。彼らがステップフォワードしていくのをコーチングしながら楽しんでいます。しっかり選手たちに出し切ってほしい。イングランド戦の序盤はアタックディフェンスともいい形を作れていたが、最後は遂行力がなく試合に負けてしまった。明日の試合では選手たちが、それを発揮してもらいたいなと思います。
――フィニッシュオントップを大事にしていますが、その意図を
エディーと仕事をはじめるときに言われたのが、日本の選手はアタックが好きだがディフェンスは好きじゃない。アタックラブ、ディフェンスラブ、どちらも好きにさせるのが自分の仕事です。自分は選手たちにディフェンスの基礎を落とし込んでいて、よりハードに安全することを指導している。フィニッシュオントップは、ユニークな言葉と技術で、相手をスローダウンするテクニックを教えています。
――エディーの超速ラグビーのコンセプトの中で、ディフェンスで反映されていることは?
自分たちのディフェンスのアイデンティティーは、相手のボールをスローダウンして早くセットするところをやっています。ディフェンスではツーメンタックル、フィニッシュオントップをやっています。朝6時からロケットスタートで6週間半ずっとやっています。
日本人選手はいいマインドセットで、毎日、朝早く時間通り来て、高い向上心、エナジーを持ってやってきます。自分は楽しくコーチングして、ステップバイステップで落とし込んでいる。
――日本人選手を指導するときに何か違うことはあるのか?
日本人の選手はすごくフィジカルになれる選手がいて、テクニックも持っている。スキル、テクニックがあるが、疲労がある中でリピートさせることを大事にしている。日本人の選手は足腰が強いと実感している。
脚をいかに使うか、脚をステップインして肩をぶつけるかをやっている。さらに日本人選手には、自分たちができるとより信じてほしい、信念を持ってほしい。どんどんステップフォワードできるということをわかってほしい。
――フィニッシュオントップを教えていますが、相手に乗るとノットリリースになる恐れもありますが
今から言うことはマオリオールブラックスに言ってほしくないが(苦笑)、確かにそのバランスは大事です。フィニッシュオンを指導する際、いくつかステージ分けをしていて、いまステージ1だと思っています。いかにスローダウンするかを身体にしみこませる。今後のステップは、スローダウンしたなかで、いかに、いつロールするのかを教えていきたい。
――どうして日本代表のDFコーチになったのか?
自分のキャリアを少し話すとリーグに26年間、選手として14年、コーチとして12年携わっていた。NZで育ったが、回りにユニオンがあって、ユニオンでもコーチングできるのかテストしたかった。ロス・プーマスでの経験があり、楽しかった。
W杯が終わった後、オーストラリアのリーグのチームからもオファーがあったが、ユニオンのコーチを続けたかったので日本代表のコーチになりました。新しい言葉を学ぶのが好きで、完璧、乾杯とかで似たような言葉に惑わされることもありますが、日本に来て良かったと思います。
もう一つ、国の強化に貢献したいというのがあります。日本代表はトップ4になれると思うし、その強化をする一員になりたい。
![](/img/2024/0629/5148d4897471ac58ffc9b600163c6f9e_original.jpg)
――エディーさんに誘われた?
最初、エディーさんからオファーがあったが、初めて会ったとき多くの質問をされた。ベストなコーチや、リーグのベストなコーチや選手はとか。もう一つ、日本に来たのはエディーの下で学びたかった。エディーは世界的にも有名で、すばらしいコーチなので、エディーの下でコーチングキャリアを摘みたかったのも一つだった。
――ハイタックルをしないように気を付けていることは
ツーメンタックルをやっていて、ファーストがチョップタックル、セカンドマンはボールがターゲット。レッド、イエローカードはもらいたくないし、選手たちに安全にタックルしてほしいので、高さを意識してほしい。
――チョップタックルの時、目指す場所は
デモンストレーションしましょうか! 腿の部分ですね。足首だとダイブにつながる。選手たちには、(タックルするとき)脚を近づけて、脚を使ってパワーを伝えてほしいので腿ですね。
![](/img/2024/0629/19c12ea942d7b172077beb177d8f459f_original.jpg)
――日本代表のタックラーは誰?
カイ(山本)ですね! 本当にタックルに入る気持ちと勢いが誰よりもすばらしい。テクニックは伸ばすところがあり、まだまだ逆ヘッドに入るときがあるので、選手にはハードだが安全にタックルしてほしい。